【白浜王国宮殿】
陽「…知らないうちに寝ちゃってたんだ」
ふと目が覚めた陽浜。
時計は深夜2時を指していた。
そんなことはお構い無しに、陽浜はある場所へ向かう。
?「……」
陽「……」
突然の訪問に、部屋の主は冷めた声で言った。
海「ねぇ、今何時か分かってる?」
部屋の主は海浜。
陽浜は知っていた。
この時間は、海浜はいつも起きていることを。
陽「分かってるから来たの!海くんいつも起きてるじゃない。ちょっと付き合ってよ!」
そう告げると、陽浜は強引に海浜の部屋に入る。
陽「はい。海くん好きでしょ?ナギサビール」
海「……」
海浜は言葉にならなかった。
陽「ったく、何だって言うのよ!あたしの存在も優ちゃんの存在も無視なわけ?」
お酒が回ってきたらしく、陽浜は海浜に絡み出した。
海「陽たん!もうこのくらいにしときなよ!」
海浜が思っている以上に陽浜は酒乱らしい。
陽「ねぇ!海くんはどう思ってるの?おかしいとか思わなかった?」
海「……」
陽「何であの子たちなの?なんであたしや優ちゃんじゃないの?おかしいでしょ!!!」
海「……」
陽「黙ってないで何とか言ってよ!ねぇ海くん!あんた、時期国王でしょ?」
陽浜は止まらなかった。
そんな陽浜が落ち着く頃合いをみて、海浜は話し出した。
海「僕も最初はびっくりしたよ。リーリー王王子やシンシン王女の年齢と釣り合わせると、僕らや優ちゃんでも若すぎるくらいなのに、更に年下の桜桃ちゃんを行かせるって言い出すから」
陽「だよね~。あんな小さい子たち、どんな危険が待ってるか分からないのに。パパって残酷」
海「でも、陽たんや優ちゃんを目当てにこの国に来る人がいっぱいいるじゃない?」
陽「あの子たちに会いに来る人だっていっぱいいるじゃない!」
海「うん、そうだね。」
一息置いて、海浜は続ける。
海「僕ね、この前統計を取ってみたんだ。そしたらね、この国に来る人の大半はパパ目当て。で、次がママ」
陽「そうなの?」
海「この国で生活している年数を考えると、妥当な結果だよね」
陽「確かに…」
海「ちなみに、僕と陽たん、優ちゃんは、ほぼ同じなんだ」
陽「優ちゃん頑張ってるんだね」
海「僕たちの場合は、双子っていうことで、珍しさから訪問者も多かったんだろうね。優ちゃんは一人っ子だから、それが通用しない。相当努力したと思うよ」
陽「ふーん」
いつの間にか、陽浜は酔いも覚めてきたらしい。
海「それに比べると、桜桃ちゃんなんてまだまだだったんだ」
陽「そうだったんだ…」
海「旅もね、2人だからあの子たちに行かせてみようってなったんだ。1人だと困難なことも、2人なら何とかなるだろうってね。パパだって、ちゃんと考えてるよ」
陽「……」
陽浜は、何とも言えない気持ちになった。
自分たちは、要らない存在だったわけではない。
それだけで、心が救われたような気がした。
海「それに!」
陽「まだあるの?」
海「陽たんと優ちゃんいなくなったら店はどうなるのさ?ママ一人にさせるの?」
陽「えっ?ちょっ、、、海くん知ってたの?」
海「知らないのはパパだけだろうね、きっと。さらに言うと、お忍びで行ったこともあるよ。誰も気付かなかったけどね」
陽「まさか、そこまで海くんに知られてたとはね。あたし、海くんを見くびってたわヽ(´Д`;)ノアゥ...」
海「陽たんと優ちゃんに抜けられると、この国は大変なことになるんだ。大丈夫だよ、桜桃ちゃんはしっかりリーリー王子たちをサポートしてくれるはずだよ」
海浜と話してスッキリしたのか、陽浜の表情は晴れやかだった。
いつの間にか、夜も明けようとしていた。
陽「安心したら眠くなってきちゃった(⊃ωー`).。oOアワアワあたし、部屋に戻って寝るわ」
海「はいはい。おやすみ」
陽浜が去って行ったあと、窓の外を見ながら海浜は呟いた。
海「ごめんね、陽たん。今はまだホントのことは言えないけど…。いつか分かる日が来るよ。桜桃ちゃんでないといけなかった理由がね」
海「ですよね、父上」
振り向いて海浜は言う。
永明「海くん、、、白浜王国の言い伝えを見たんだね…」
上野竹林王国物語の本編は、いのぱんだ様のブログでお楽しみ下さい(*'▽'*)♪
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